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【読書】誘拐の知らせ ガブリエル・ガルシア=マルケス

1993年にコロンビアで起こった誘拐事件。コロンビア社会の暗部を見せつけられるノンフィクション。

 

いくつも発生した誘拐事件が、一本にまとまる。麻薬密輸組織と政府の駆け引き、人質や人質の家族、犯人組織の駆け引きや心情を、ガルシア=マルケスが見事に書ききっている。

 

ノンフィクションだ、とわかっていると、余計に恐怖に鳥肌が立ち、悪寒が走り、思わず体が硬くなる。

 

劣悪な環境で監禁されたり、見張りの人間の狂気に触れたり、死の恐怖に苛まれたり。絶望を味わい、苦悩が待ち受けている。窮地の状態で、冷静でいることの難しさ、状況を分析して対応できる勇敢さ、それを持つ事は、はたして、自分にできるだろうか。

 

読み終わったのに、また読みたくなる。そんな本だ。

 

※スペインは夫婦別姓が普通らしく、出てくる登場人物の苗字が異なり、若干、混乱しました。また、名前が似てたりすると、前に戻って確かめたり。カタカナが苦手だけれども、この人の書くものは、本当に好きです。