会社の方が貸してくれて、文庫まで待たずに済んだのだが、本が重いから、結局、通勤では持ち歩けず、読了に時間がかかった。
ピアノのコンテストのお話。
審査員、コンテスタント、コンサートマスター、調律師、様々な立場の登場人物がひとつのコンテストを順に語っていく。
コンテストの最中に成長、進化して行くコンテスタントたち、それを見守る審査員、コンサートマスター。そして、読み手であるこちら。
まいどのことながら、恩田陸の描く登場人物はやな奴がいない。愛である。
音楽の細かな知識が無くても、分かるように描写してくれている。車にたとえている所があるのだが、音楽も車も興味がない人にとっては、もしかしたらチンプンカンプンかもしれない。
クラシックは、消えてなくならず、聴くたびに新たな発見や喜びがある。何世紀も前に書かれた音楽が、未だに演奏され続けているのだから、感慨深いものがある。
これを読むと、聴きたくなってくるし、ピアノや楽器をできる人は弾きたくなってくると思う。
自分は、YouTubeでクラシックを聴きながら読んでいた。
風間塵、栄伝亜夜、聴いてみたいなぁ。と、物語の中の人物なのに、存在しているような気がしてきて、いま、どうしてるかなぁ、などと想いを馳せる。
これは、映画化されるだろうか。アテレコのピアニストが見つからないとできないだろうか。
音楽好きにはたまらない物語だ。
※サン=サーンス、バルトークが好きなので、読み終わってもずっと聴いてしまうし、コンサートに行きたくなるし、ずっとやっていない楽器をまた弾きたいなんて衝動に‥感化されやすいたち、ということもありますが、おすすめです。でも、また、のろのろ、とか、表現については色々気になっている部分はあります。