ジャーナリズムとフィクションの融合。
初めはルポタージュを書こうと思っていたが、事件の当事者がほぼ亡くなってから書かれたものだそうだ。
読者は、殺人犯の親戚であり、被害者の友人である「わたし」から提供される情報から、事件を内側と外側から見ることができる。
殺人が行われた事実から始まり、なぜ予告があったにもかかわらず、殺人が実行されてしまったのか。いろいろな時系列で読み解いていく。
ガルシア=マルケスの表現は、詳細で克明で、グロテスクであり、それは、真実だ。と言うこと。
思わず、目を背けたくなるが、見なければならない事であり、いわば、証人として私たち読者が成り立っているような気さえする。
新しい時代、古い体制の崩壊、悪意や嫉妬や差別など人間の持つ感情、真にあるものは何なのか。個は共同体によって翻弄され、また、共同体は個によって崩壊するのだ。
※ガルシア=マルケスの小説をもっと読みたいと思っていますが、エネルギーが無いと、なかなか読み進められないのです。表現は素晴らしいし、ユーモアが効いていて、なかなか好きな話でした。